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ベトナム縫製工場の現状とは?日本企業の進出やOEM生産の不安を解消

「ベトナムの縫製工場は、技術水準とか実際のところどうなんだろう?」
「ベトナムに生産を委託したときのメリット・デメリットを知りたい!」
「どうやって縫製工場を探せばいいんだろう?」

近年、めざましい発展をとげているベトナム。主力産業のひとつである繊維製品の輸出額は世界第3位を誇り、OEM生産の拠点として世界中から注目を集めています。

OEMとは、他社ブランドの製品を製造すること。この記事では、日本のアパレルメーカーや個人ブランドを立ち上げた人が、ベトナムの縫製工場に生産を委託することを意味します。

大企業では当たり前に行われているものの、一般的にはまだ情報が少ないので、冒頭のような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。OEM生産の不安を解消するため、ベトナム縫製工場の現状について以下のテーマに沿ってわかりやすくまとめました。

・ベトナムの縫製工場の現状
・ベトナムに生産拠点をおくメリット・デメリット
・ベトナム縫製工場は小ロット商品でも生産可能
・ベトナム縫製工場で生産する際に注意すること

ベトナムの縫製業に対する理解を深め、OEM生産(委託生産)を検討してみてください。

Pick Up 革新的半SPAモデル:ベトナム縫製工場で実現する品質と効率の両立

<制作者>Talenty合同会社|UpAsia編集部

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ベトナムの基本情報をサクッと解説

まずはベトナムの基本情報 をチェックしてみましょう。

面積32万9,241 km²(日本の約87%)
人口約9,762万人(日本の約78%)
首都ハノイ
通貨ドン(Dong)※1 ドン=約0.0061円(2022/9/10現在)
言語ベトナム語

ベトナムは南シナ海に面した東南アジアの国で、中国の北側に位置しています。日本からは飛行機で5時間くらいの距離です。

ベトナムの人口は日本の約8割程度。平均年齢が31歳 と若く、人口が増加傾向にある点は日本と対照的です。

一般的にベトナム人は「勤勉でまじめ、手先が器用な人が多い」といわれています。打ち解けると笑顔がたえず、親切な人が多い印象。親日家が多いので、日本人に対して好意的な人が多いのも、特徴のひとつです。

【中国からシフト】ベトナムの縫製工場は急成長している

ベトナムの縫製工場の現状はどのようになっているのでしょうか? ベトナムの縫製業について、以下2つの項目で解説していきます。

1.【世界第3位】輸出額が年々拡大
2.中国からベトナムへ

順にみていきましょう。

1.【世界第3位】輸出額が年々拡大

ベトナムの主力産業のひとつである縫製業。関連企業は約7,000社あり、工業分野に勤める労働者の約4分の1 が縫製業に従事しています。

ベトナム縫製協会(VITAS)によると、ベトナムの縫製・繊維製品輸出額は2019年に、中国・インドに次ぐ世界第3位 にランクインしました。

1位の中国が減少傾向にあるのに対し、ベトナムの輸出額は年々拡大し続けています。下のグラフは、縫製関連の輸出入額の推移です。

出典:株式会社国際協力銀行「ベトナムの投資環境/2019年12月」第22章P165

上記のグラフを見ると、ベトナムは1999年から輸出超過が続いており、輸出拡大ペースも増え続けています。

そもそもベトナムは、国全体をみても勢いがあります。2020年、コロナ禍によって世界中のGDPがマイナスに落ち込んでいたなか、ベトナムのGDPはプラス でした。世界中で「非常時」と呼ばれたこの時期でも、ベトナムは着々と経済成長を続けていたのです。

世界レベルでみると、人口はまだ増加し続けています。アパレルの国際市場は今後も成長が見込まれるので、ベトナムの縫製関連企業もさらなる発展が期待できるでしょう。

2. 中国からベトナムへ

ベトナムの縫製関連品の輸出が大きく伸びている原因のひとつとして、世界中で中国への依存を避ける企業が増えている点があげられます。中国離れが加速している要因は、主に以下の3つです。

・人件費の高騰
・人権問題
・米中貿易摩擦

もともと人件費の高騰が問題視されていたところに、ミャンマー・ウイグルなどの人権問題が表面化し、そのうえ米中貿易摩擦が深刻になってきたため、中国からの撤退を検討する企業が増えています。

そして、多くの企業がシフト先を考えていたときに一番の候補となったのがベトナムだったのです。

日本貿易振興機構による日本企業へのアンケート調査をみても「次の事業拡大先として選んだ国」では、ベトナムが第2位にランクインしています。

出典:日本貿易振興機構(ジェトロ)2020年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査P15

現状、日本の大手商社や繊維専門商社の多くは、すでにベトナムに進出 しています。「中国離れ」の要因は、どれも解決する見通しが立っていないため、今後も中国からベトナムへのシフトは加速していくでしょう。

ベトナムの縫製工場で生産する5つのメリット

では、なぜ日本の縫製関連企業はベトナムを選んだのでしょうか。それは、次のようなメリットがあったからです。

  1. 勤勉で技術力が高い
  2. 人件費が安い
  3. 社会情勢が安定している
  4. 親日的な人が多い
  5. 環境が適している

それぞれ詳しくみていきましょう。

1. 勤勉で技術力が高い

ベトナムの縫製工場で生産するメリット1つ目は「ベトナム人の勤勉さと技術力の高さ」です。

ベトナム人は性格的にまじめな方が多く、勤勉であるといわれています。縫製業は根気のいる作業が多いため、じっくりと取り組む能力に長けているベトナム人に適しているのでしょう。

また、ベトナム人は手先が器用で有名です。ベトナムの土産品や伝統衣装であるアオザイの刺しゅうを見ると一目瞭然でしょう。図面通りに正確に作業する能力が高いため、ワイシャツやメンズスーツ・婦人下着といった、高度な縫製技術を要する注文が多く寄せられています。

ベトナムと同じく縫製品の輸出が多い中国やタイ・カンボジアと比較しても、ベトナム人のスキルの高さには定評があります。今後、他国との差別化につながり、ベトナム縫製業界の強みになっていくでしょう。

2. 人件費が安い

ベトナムの縫製工場で生産するメリット2つ目は「人件費が安い」点です。現在、ベトナムの人件費は中国の1/3〜1/2 程度といわれています。

中国は「世界の工場」と呼ばれるほど人気の生産拠点ですが、人件費の高騰がすさまじく、中国に進出するメリットは薄れてきています。

ベトナムも人件費の上昇が問題視されていますが、中国はもちろん、タイやインドネシアと比較 してもまだ安いため、海外企業からすると十分魅力的な生産拠点です。

3. 社会情勢が安定している

ベトナムの縫製工場で生産するメリット3つ目は「社会情勢が安定している」点です。

海外展開を考える際、現地の社会情勢は重要なカギとなります。紛争が起こりやすい状況下では、事業を円滑に進められないからです。問題が起こるたびに為替変動が大きくなり、生産コストの予測も立てにくくなるでしょう。

その点、ベトナムは共産党による一党独裁が続いており、政治体制が安定しています。また、宗教は仏教徒が多く、宗教対立による戦争の心配はありません。

ベトナムの社会情勢は、海外展開を考えている企業にとって理想的だといえるでしょう。

4. 親日的な人が多い

ベトナムの縫製工場で生産するメリット4つ目は「親日的な人が多い」点です。

アウンコンサルティング株式会社による2012年の「アジア10ヶ国の親日度調査」では、「日本という国が好きですか」という問いに対し、ベトナム国民の97% が「大好き」または「好き」と回答しました。

ベトナムの親日度はアジア10か国のなかで最も高く、ほとんどのベトナム人が日本人に好意を持っていると考えられます。

取引をするうえで日本人に対して好意的であることは、大きなメリットだといえるでしょう。

5. 環境が適している

ベトナムの縫製工場で生産するメリット、最後は「インフラが整備されている」「電気料金が安い」などの環境面です。

ベトナムのインフラは、ミャンマーやカンボジアなど に比べれば、比較的整備が進んでいます。

また、電気料金が安いのもコスト削減のためには魅力的。「グローバル・ペトロール・プライス2018年版 」の調査によると、ベトナムの電気料金は世界平均の約半分であり「世界93か国のなかで21番目に安い」とされています。

ただし、その後は値上げが繰り返されているため、工場建設など、大々的な進出を検討されている場合は改めて確認する必要があるでしょう。

このように、さまざまな条件を総合的に判断して、日本の多くの縫製関連企業はベトナム進出へ乗り出したのです。

ベトナムの縫製工場で生産する3つのデメリット

ここまではメリットをお伝えしてきましたが、ベトナムでOEM生産(委託生産)する場合は注意すべき課題もあります。ベトナムの縫製工場で生産するデメリットは、以下の3つです。

  1. 原材料を輸入に頼っている
  2. 今後は人件費が上昇していく
  3. 輸送におけるコストと時間

順に解説していきます。

1. 原材料を輸入に頼っている

ベトナムの縫製関連企業の問題点として、1番にあげられるのは、生地や糸などの原材料を中国からの輸入に頼っている点です。

アセアンのFTA加盟国(AFTA)から輸入すれば関税が不要なのにもかかわらず、加盟国でもない中国から輸入しているのは、品質や在庫量に安心感があるから。

コンスタントに注文が入るユニホームなど、大型注文の材料は自国で生産しているものの、季節商品の材料は大半を中国から輸入しているのが現状です。

この点に関しては多くの縫製工場で問題視されており、今後の課題として検討されています。

2. 今後は人件費が上昇していく

ベトナムの縫製工場で生産するデメリット2つ目は「人件費の上昇」です。

前章で「人件費が安い」点をメリットとしてあげましたが、今後はベトナムも人件費が上昇していくと予想されます。実際、2013年に最低賃金が大幅に引き上げられてからというもの、毎年6%前後の上昇 が続いています。

ただ、大きく経済成長している国において、人件費の上昇は避けて通れない問題なのも事実。今後、人件費の安い国に注文がシフトしていっても、その国の経済発展が順調である限り同じことの繰り返しでしょう。

将来的にベトナムの優位性が揺らいだとしても、仕方のないことかもしれません。

3. 輸送におけるコストと時間

ベトナムの縫製工場で生産するデメリット3つ目は「輸送におけるコストと時間」です。輸入時は、距離が遠くなるほど輸送のコストと時間がかかってしまいます。

とくにコートなどかさばる商品は船便が一般的なので、中国と比較すると輸送に日数がかかります。

とはいえ、メリットを考えれば比較的小さな問題だといえるでしょう。

日本企業がベトナムに進出してきた背景

日本企業のベトナム進出は、1990年の「ドイモイ政策」をきっかけに始まりました。ベトナムは社会主義国家ですが、経済成長の重要性に気付いて、この時期から積極的に海外からの進出を受け入れるようになったのです。

当初、主に大手商社や製造業が進出し、2000年以降はサービス業が次々と乗り出し、近年は中小企業も数多く増えています。

身近なところでは、大手流通企業グループのイオンやファミリーマート、高島屋など。飲食チェーン店も急増しており、丸亀製麺やすき家、吉野家、牛角、大阪王将など、日本人にとっておなじみの店が続々と進出しています。

ベトナム縫製工場は小ロットでも生産可能

ベトナムの縫製工場は、小ロットのOEM生産(委託生産)も発注可能です。

もともとベトナムでは、小ロットの発注に対応している縫製工場が少なく、その数は限られていました。原材料の調達コストなど、費用対効果が見合わなかったからです。

近年は対応している工場が増えてきましたが、「日本語が通じる」「小ロットに対応している」「価格に見合った品質」など、条件の揃った業者を自力で探し出すのは難しいかもしれません。

そのため、一般的には「現地に担当者がいる仲介業者に任せるのが得策」と考えられています。

弊サイトUpAsiaでは、日本語が通じて低価格高品質、小ロットにも対応している優良なベトナム縫製工場をご紹介しています。

メーカー様・OEM様は、関連記事「【小ロット対応可】ベトナム縫製工場を活用したオリジナル商品製作サービス」に詳細がありますのでぜひご覧ください!

ベトナム縫製関連企業を選ぶ際に気を付けたい3つのポイント

ベトナムの縫製工場にOEM生産(委託生産)を発注する場合、気を付けたいポイントは以下の3点です。

・「注文が通りにくい」傾向がある
・契約内容に不備がないよう確認する
・評判をチェックする

ベトナムの縫製工場はアメリカへの輸出量が増加 しており、日本からの小ロット注文は通りにくい傾向があります。アメリカの注文は発注量が多く、品質基準も日本に比べると緩やかだからです。個人が発注する場合は、小ロットの注文に積極的な縫製工場であれば安心です。

またトラブル防止のために、契約内容も慎重に確認しましょう。知的財産権や著作権、不良品が出たときの保証内容も要チェックです。

その他、縫製工場の選定時には必ず評判をチェックし、品質と価格のバランスを見極めておきます。

弊サイトUpAsiaでは、インフルエンサー様向けの「オリジナルブランド構築サービス」をご紹介しています。関連記事「【インフルエンサー向け・低価格】ベトナム縫製工場によるアパレル製品制作サービス」に詳細がありますのでぜひご覧ください!

まとめ

今回は、ベトナムにOEM生産(委託生産)を検討されている方のために、ベトナム縫製工場の現状や、OEM生産のメリット・デメリットなどについて解説しました。

ベトナムの縫製工場は一般的に技術力が高く、低コストで発注できます。ただし、初めての場合は工場のリストアップから始めなければいけないので、少々難易度が高いかもしれません。

弊サイトでは「メーカー様・OEM様向け」と「インフルエンサー様向け」の制作サービスご案内ページをご用意しております。

日本語が通じて低価格高品質、小ロットにも対応している優良ベトナム縫製工場をご紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。

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