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タイで法人設立する費用と手順の全まとめ【2026年版】

タイで法人を設立するにはいくらかかるのか?——結論から言えば、設立登記と代行にかかる費用は約20〜60万円です(法定手数料+コンサルタント代行費。資本金・ビザ取得費・年間維持費は別途)。ただし、外資比率や業種、BOI(タイ投資委員会)認可の有無によって大きく変わります。

2026年1月にはタイの法人登記がオンライン申請に原則移行するなど、制度面の変化もありました。この記事では、2026年時点の最新情報をもとに、タイでの法人設立にかかるすべての費用と手順を、一覧表つきで解説します。

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タイの法人設立費用:フェーズ別の全体像

「結局いくら用意すればいいのか?」に答えるため、フェーズ別の費用を一覧にまとめました。以下は外資マジョリティー(外資50%超)の非公開株式会社(Private Limited Company)を設立する場合の目安です。

タイ法人設立のフェーズ別費用一覧表:法定費用・代行費・資本金・ビザ・年間維持費の5段階

法定費用(政府手数料)

タイ政府に支払う手数料は、資本金の額に連動します。

項目金額備考
商号予約少額(数百バーツ程度)通常即日〜数営業日。有効期間30日
基本定款(MOA)登記料資本金10万バーツにつき50バーツ(最低500、最大25,000バーツ)定款登記時
会社設立の最終登記料資本金10万バーツにつき500バーツ(最低5,000、最大250,000バーツ)最終登記時

資本金200万バーツの場合、法定費用の合計は約11,000〜15,000バーツ(約6万〜8万円) が目安です(DBDの最新手数料表に従います)。

このほか、VAT登録(政府手数料は基本0円。代行費として数千バーツ程度)、社会保険登録(雇用後30日以内に届出義務)、法人銀行口座の開設(最低預金500バーツ〜。手数料は銀行により異なる)なども必要です。

コンサルティング・代行費用

タイ語での書類作成や行政対応が必要なため、専門家への依頼が一般的です。

依頼先費用相場
タイ現地の法律事務所・会計事務所3万〜5万バーツ(約15万〜25万円)
日本語対応の現地事務所5万〜10万バーツ(約25万〜50万円)
日系大手コンサルティングファーム15万バーツ〜(約75万円〜)

登記住所(オフィス)の費用

タイでは法人登記に実際の所在地が必要です。自社オフィスを賃借しない場合、バーチャルオフィスやサービスオフィスを登記住所として利用できます。

種類年間費用の目安
バーチャルオフィス(登記住所のみ)1万〜3万バーツ(約5万〜15万円)
サービスオフィス(個室あり)月額1万〜5万バーツ(約5万〜25万円)
一般的なオフィス賃貸月額2万バーツ〜(立地・広さによる)

資本金の要件

タイには登記上の法定最低資本金はありませんが、実務上は以下の要件により一定額が必要になります。

ケース必要な資本金根拠
タイ資本マジョリティー(タイ人51%以上)法定最低額なし(実務上100万バーツ以上が多い)事業規模に見合う額
外国人を就労させる場合(WP取得)1人あたり200万バーツの払込済資本金労働許可証の取得要件
外国人事業許可(FBL)が必要な業種300万バーツ、または3年平均見込費用の25%の大きい方外国人事業法

※1バーツ=約5円で概算(2026年3月時点。実勢レートは変動するため、正確な換算は金融機関にご確認ください)

タイ人株主の確保

タイの非公開株式会社は発起人(株主)2名以上が必要です(2023年の民商法改正で従来の3名から引き下げ)。日本人1名で設立する場合でも、最低1名の株主を別に確保する必要があります。

外資マジョリティー(外資50%超)の場合はタイ人株主の比率は49%以下で済みますが、タイ資本マジョリティーで設立する場合はタイ人が51%以上を保有する必要があります。信頼できるタイ人パートナーの確保は最も重要なステップです。

注意: タイ人名義を借りて外資規制を回避する「ノミニー」(名義貸し)は違法です。ノミニーとは、実際には外国人が資金を出しているにもかかわらず、タイ人の名義で株式を保有させる行為を指します。外国人事業法違反には禁固刑を含む厳しい罰則があり、2026年以降はDBDが資金証跡の提出を求めるなど審査も厳格化傾向にあります。

出典: JETRO「タイ 外資に関する規制」

2026年の重要変更:タイの法人設立手続きが原則オンライン必須に

タイの法人登記制度が大きく変わりました。当初2025年7月に予定されていた紙申請の廃止は延期され、2026年1月1日以降、すべての登記手続きがDBD Biz Registというオンラインシステム経由で行うことが原則必須になっています。

日付内容
2025年1月DBD Biz Regist正式稼働
2025年2月旧オンライン予約システム(e-Registration)廃止
2025年7月当初のオンライン完全移行予定日(延期)
2026年1月1日DBD Biz Regist経由での手続きが原則必須に

出典: Baker McKenzie “DBD Biz Regist Launch Postponed to 1 January 2026”

※運用過渡期のため、一部の手続き類型で移行猶予が残る可能性もあります。

外国人投資家への影響

メリット: タイに渡航せずにオンラインで法人登記を完結できる可能性があります。

注意点:

  • 外国人はタイ国民ID(ThaID)やNDID(国家デジタルID)を使用できません
  • 外国人が利用できる本人確認手段は「DBD e-Serviceアプリ」経由のみ
  • アプリが使えない場合は、DBD窓口での対面確認が必要です
  • 初期段階では「対面より処理時間が長くなる」との報告もあります

実務的には、現地の法律事務所に委任状を出して代理申請する企業がほとんどです。

タイでの法人設立手順(7ステップ)

タイで非公開株式会社を設立する場合の標準的な手順です。所要期間は約1〜1.5ヶ月です。

ステップ内容所要日数
1法人形態の決定 — 非公開株式会社が最も一般的。株主2名以上が必要(2023年改正後)
2商号の予約 — DBD Biz Registでオンライン申請。英語・タイ語の両方で予約。有効期間30日即日〜数営業日
3基本定款(MOA)の登記 — 会社の目的・株式構成等を記載した定款を登記1〜2日
4設立総会の開催 — 株主が取締役・監査人の選任、定款承認等を議決1日
5会社の最終登記 — DBD Biz Registで登記完了。登記証明書がデジタル発行される1〜3日
6税務登録・VAT登録 — 歳入局でTIN(納税者番号)を取得。年間売上見込み180万バーツ超ならVAT登録も必要3〜5日
7ビザ・労働許可証の取得 — 外国人従業員のNon-Bビザ(就労ビザ)と労働許可証(ワークパーミット)を申請2〜4週間

注意: 発起人(株主)は最低2名必要です(2023年の民商法改正で従来の3名から引き下げ)。なお、非公開株式会社の取締役には国籍・居住地の法定要件はありませんが、実務上はタイに居住する取締役がいると行政手続きがスムーズに進みます。

タイとベトナムの設立手続きの違いは「ベトナムとタイ、進出先はどっち?」で比較しています。

出典: JETRO「外国企業の会社設立手続き・必要書類」

BOI認可を取るべきか?法人設立費用との比較

BOI(Board of Investment:タイ投資委員会)の認可を取得すると、法人税の免除・軽減や外資100%出資の許可など、大きなメリットがあります。一方で、申請には一定の準備が必要です。

BOI認可あり vs なしの比較表:外資比率・法人税・関税・土地所有など8項目

BOIの恩典カテゴリ

BOIは事業内容に応じて恩典のレベルを分類しています。

カテゴリ位置づけ法人税免除期間
A1+最先端技術・国家戦略産業通常8年+追加で最大13年(上限なし)
A1高度技術・R&D最大8年(上限なし)
A2高付加価値製造最大8年(投資額上限あり)
A3中程度の技術産業5年
A4基礎産業3年
B1・B2非税制恩典のみ免除なし

どんな企業がBOI申請すべきか: 製造業やIT・デジタル関連で、タイに一定規模の投資を行う企業にはBOI申請を強く推奨します。投資額2億バーツ未満なら審査は40日以内と比較的速く、法人税免除のメリットが圧倒的に大きいためです。一方、小売業・飲食業などBOIの対象外の業種では申請できないため、外国人事業許可(FBL)やタイ資本マジョリティーでの設立を検討することになります。

出典: BOI “A Guide to Investment Promotion” 2025

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外国人事業法の制限と対策(タイ法人設立の注意点)

タイで事業を行う外国人・外国企業は「外国人事業法」(FBA:Foreign Business Act)の規制を受けます。多くの業種で外資比率49%の上限が設定されています。

規制業種リスト

リスト制限内容主な業種例
リスト1外国人の参入を完全禁止農業、林業、漁業、土地売買
リスト2内閣承認が必要武器製造、国内航空輸送、鉱業
リスト3DBDの許可が必要小売業、サービス業、建設業、広告業

合法的な対策:どれを選ぶべきか

外資規制に対処する方法は4つあり、事業内容と投資規模に応じて選びます。

方法概要外資100%の可否向いている企業
BOI認可最も一般的。認可を受ければ外資100%が可能製造業・IT・R&D系
FBL(外国人事業許可)DBDに申請。審査60日、資本金300万バーツ以上△(審査次第)BOI対象外のサービス業
日タイEPA(JTEPA)特定のサービス業種でリスト3の制限が緩和△(限定的)製造業支援サービス等
IBC(国際ビジネスセンター)地域統括会社向け。法人税率3〜8%に軽減東南アジア統括拠点

迷ったら: 製造業・IT系ならまずBOI申請を検討。小売・飲食・サービス業ならFBLまたはタイ資本マジョリティーでの設立が現実的です。IBC(International Business Center)は年間運営費6,000万バーツ以上が要件のため、大企業向けです。

東南アジア6カ国に進出する日本企業の全体像は「東南アジアに進出する日本企業一覧【2026年最新】」で詳しくまとめています。

タイ法人の設立後にかかる年間維持コスト

法人設立の費用だけでなく、設立後に毎年かかるコストも事前に把握しておくことが重要です。タイでは全法人に年次監査が義務づけられており、日本より維持コストが高くなる項目もあります。

項目年間費用の目安備考
会計・記帳(月次)5万〜18万バーツ(約25万〜90万円)取引量で変動
年次監査2万〜10万バーツ(約10万〜50万円)公認会計士(CPA)による監査。タイでは全法人に義務
ビザ・労働許可証の更新5万〜10万バーツ/人(約25万〜50万円)代行費含む。毎年更新が必要
社会保険(雇用主負担)給与の5%(月額賃金上限17,500バーツ=最大875バーツ/月/人)2026年1月に月額賃金上限が15,000→17,500バーツに引き上げ

日本人駐在員1名を置く小規模法人の場合、会計・記帳(年5万バーツ〜)+年次監査(2万バーツ〜)+ビザ更新(5万バーツ〜)で、年間維持コストは約12万〜38万バーツ(約60万〜190万円) が目安です。

出典: Belaws “Annual Audit in Thailand”Acclime “New Social Security Contribution Rates”

まとめ:タイ法人設立の費用シミュレーション3パターン

業種・規模別に、設立から初年度にかかる費用の総額をシミュレーションしました。

パターンAパターンBパターンC
業種小規模サービス業製造業地域統括会社(IBC)
BOIなしありIBCスキーム
資本金200万バーツ(約1,000万円)200万バーツ(約1,000万円)1,000万バーツ(約5,000万円)
① 法定費用約1.5万バーツ(約8万円)約1.5万バーツ(約8万円)約1.5万バーツ(約8万円)
② 代行費用約5万バーツ(約25万円)約10万バーツ(約50万円)約30万バーツ(約150万円)
③ BOI/IBCコンサル費約20万バーツ(約100万円)約50万バーツ(約250万円)
④ ビザ・WP(1名分)約5万バーツ(約25万円)約5万バーツ(約25万円)約5万バーツ(約25万円)
⑤ 年間維持費約12万バーツ(約60万円)約25万バーツ(約125万円)約40万バーツ(約200万円)
初年度総額(資本金除く)約24万バーツ(約120万円)約62万バーツ(約310万円)約127万バーツ(約635万円)

※パターンAの①②合計=約6.5万バーツ(約33万円)が「設立費用」に該当

⑤年間維持費の内訳(パターンA): 会計・記帳5万バーツ+年次監査2万バーツ+ビザ更新5万バーツ=計12万バーツ
⑤年間維持費の内訳(パターンB): 会計・記帳12万バーツ+年次監査5万バーツ+ビザ更新5万バーツ+保険等3万バーツ=計25万バーツ

※為替レートは1バーツ=5円で概算

相互関税がタイ進出に与える影響については「相互関税で東南アジア進出はどう変わる?」で解説しています。

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よくある質問(FAQ)

Q. 資本金200万バーツは全額払い込む必要がある?
A. はい。外国人を雇用する場合、1人あたり200万バーツの払込済資本金が必要です。登記上の授権資本金ではなく、実際に銀行口座へ入金された金額で判定されます。

Q. 一人で会社を設立できる?
A. いいえ。タイの非公開株式会社は発起人(株主)2名以上取締役1名以上が必要です(2023年の民商法改正で従来の3名から引き下げ)。日本人1名で設立する場合でも、最低1名の株主を別に確保する必要があります。

Q. 設立にどのくらいの期間がかかる?
A. 商号予約から最終登記まで約1〜1.5ヶ月です。ビザ・労働許可証の取得を含めると2〜3ヶ月が標準的な期間です。BOI認可を申請する場合は、さらに3〜4ヶ月の審査期間が加わります。

出典一覧

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