タイ進出コンサル・支援会社を比較【2026年版】選び方と費用の考え方
最終更新:2026年3月23日|監修:Talenty合同会社
本記事は支援範囲・費用形態・拠点の3軸で支援会社を4タイプに分類し、各社の公式サイト(2026年3月時点)に基づいて比較しています。掲載基準:(1)日本語の公開情報がある (2)タイ進出支援を提供 (3)バンコクに拠点を持つ、または支援実績を公式サイトで確認できる事業者。費用は公開情報ベースで、非公開項目は「要見積もり」と表記。掲載順は五十音順で、有料掲載による優遇はありません。

タイはASEANで最も多くの日系企業が進出している国です。JETROの「タイ日系企業進出動向調査2024年度」(2025年2月公表)によれば、タイで活動が確認された日系企業は6,083社にのぼります[1]。また、JETRO「2025年度海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」では、在タイ日系企業の事業拡大意欲は38.7%で、依然として重要な投資先です[2]。
しかし、タイにはBOI(投資委員会)奨励制度や外国人事業法(FBA)など独自の制度があり、「どの支援会社に頼むか」で進出コストと所要期間が大きく変わります。このページでは、タイ進出支援を4つのタイプに分類したうえで、民間支援会社7社と公的支援を比較。自社に合うパートナーを判断できるように整理しました。
タイ進出支援の4タイプを比較
支援会社は提供サービスの領域によって4タイプに分かれます。「自社が何を頼みたいか」で最適なタイプが決まります。

| タイプ | 特徴 | 費用感 | こんな企業向け |
|---|---|---|---|
| 総合型 | 市場調査〜法人設立〜BOI申請〜運営フォローまで一貫対応 | 数十万〜数百万円(スコープにより変動) | 初進出・スピード重視 |
| 会計税務型 | 会計記帳・税務申告・監査・給与計算に特化 | 月額制が主体 | 進出済み・設立後のバックオフィス強化 |
| 市場調査型 | フィジビリティ調査・競合分析・パートナー探索 | スポット契約、数十万〜百数十万円 | 参入前の市場検証段階 |
| EOR/GEO型 | 法人設立なしで現地人材を雇用できる海外雇用代行 | 月額数万〜十数万円/人(事業者・人数で変動) | 先行試験・小規模スタート |
費用の注意点: 上記は目安です。業種・進出エリア(バンコク/東部経済回廊)・BOI申請の有無によって大きく変動するため、必ず複数社から見積もりを取って総額比較してください。VAT 7%・翻訳費用・公証費用が別建てになる場合もあります。
タイ固有の制度を知っておく — BOIと外国人事業法
タイ進出では2つの制度が支援会社選びに直結します。
BOI(Board of Investment = 投資委員会)奨励制度:
タイ政府が特定業種の投資を促進するための制度です。BOI奨励を受けると、業種の重要度に応じて以下の恩典が得られます[3]。
- グループA1+: 法人税免除(上限なし)最大13年間
- グループA1: 法人税免除(上限なし)8年間
- グループA2: 法人税免除(投資額100%上限)8年間
- グループA3〜A4: 法人税免除 3〜5年間
さらに、機械・原材料の輸入関税免除、外国人技術者の入国許可、土地所有の許可といった恩典もあります。ただし、2025年1月からグローバル・ミニマム課税(GMT)が施行され、多国籍企業は実効税率15%の最低基準が適用されるため、BOI恩典の活用方法が変わりつつあります[4]。BOIは軽減措置として、100%免税の代わりに法人税率10%を選択し、免税期間の2倍の減税期間を享受できるオプションも導入しています。
外国人事業法(Foreign Business Act = FBA):
外資50%以上の企業に対して43業種への参入を規制する法律です[5]。
- リスト1(9業種): 外資参入が完全に禁止(農業、放送等)
- リスト2(13業種): 内閣承認で参入可能(安全保障・文化関連)
- リスト3(21業種): 外国人事業委員会の許可で参入可能(小売、建設、コンサル等)
製造業はBOI奨励を受ければ外資100%で設立可能ですが、サービス業・小売業はリスト3の許可取得が必要です。なお、2025年4月にFBA改正案が内閣で原則承認され、規制緩和の方向で検討が進んでいます[6]。
代表的な支援会社7社を比較
支援タイプを理解したら、次は具体的な会社選びです。以下にタイ進出支援の代表的な民間7社を比較します(五十音順)。
各社の拠点・サービス範囲・実績は2026年3月時点の公式サイト記載に基づきます。

| 会社名 | タイプ | タイ拠点 | 得意分野 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|---|
| Asia Alliance Partner | 会計税務型 | バンコク(スクンビット)[7] | 2004年創業、タイ最大規模の日系会計事務所。会計・税務・監査・法務をワンストップ提供 | 会計税務を日本語で安心して任せたい企業 |
| 朝日ビジネスソリューション | 総合型 | バンコク[8] | 100社超のタイ進出支援実績。法人設立・BOI申請・会計税務・労務を一貫対応 | 製造業で進出からBOI申請まで一括依頼したい企業 |
| 海外進出PRO | 市場調査型 | 日本(バンコクパートナー網)[9] | 150業種・400名の専門家ネットワーク。タイ支援実績300社超 | まず市場調査・FS(事業可能性調査)から始めたい企業 |
| ガルベラ・パートナーズ | 総合型 | バンコク[10] | 日本人常駐。法人設立・許認可・ビザ・会計税務・労務管理をワンストップ | 中小企業で日本語対応を重視する企業 |
| 東京コンサルティングファーム | 総合型 | バンコク[11] | 20か国超・40拠点以上のグループ。会計・税務・法務・人事をカバー。EOR/GEOも提供 | 複数国同時進出やEORから始めたい企業 |
| Bricks&UK | 会計税務型 | バンコク[12] | FAP(会計士登録)取得済み。2013年開設、日本語堪能なタイ人スタッフが対応 | コスト意識が高く、会計税務に絞りたい中小企業 |
| Digima〜出島〜 | マッチング | 日本(オンライン)[13] | 支援会社への一括相談プラットフォーム。進出段階別に候補を紹介 | どこに相談すべきかわからない段階の企業 |
なぜこの7社か? タイ進出支援会社は多数存在しますが、本記事では「バンコクに拠点またはパートナー網を持ち」「日本語で公開情報を確認でき」「4タイプのいずれかで代表的な存在」の条件で絞りました。他にも有力な支援会社は多くあるため、後述のJETRO相談やDigimaも活用して幅広く比較してください。
支援会社の選び方 — 5つのチェックポイント
タイプと候補を絞ったら、以下の5点で最終比較してください。
1. BOI申請の経験があるか
BOI奨励の取得は書類作成だけでなく、申請業種の分類判断と投資計画の妥当性が審査されます。申請から承認まで通常60〜90営業日かかり、追加質問への対応力が所要期間を左右します。自社の業種でBOI申請を通した実績があるかを必ず確認してください。
2. 外国人事業法(FBA)の知見があるか
サービス業・小売業で進出する場合、リスト3に該当する可能性があります。FBA許可の取得経験や、BOI奨励によるFBA規制の回避策(製造業の場合)に詳しいかを確認しましょう。2025年のFBA改正動向も含めて助言できる支援会社が望ましいです。
3. 設立後フォローの範囲
法人設立だけをサポートし、設立後の月次会計・税務申告・監査は別契約という会社は少なくありません。タイの標準法人税率は20%ですが、BOI奨励企業は免税期間終了後の移行処理が必要です。また、タイでは法人登記後に所定の期限内で税務登録(VAT登録は売上基準超過時に30日以内等)が必要で、期限超過は罰金の対象です。設立から運営フェーズまで一貫して頼めるかを事前に合意してください。
4. ビザ・労働許可の対応力
タイで外国人が就労するにはNon-Immigrant Bビザと労働許可証(Work Permit)の両方が必要です。申請手続きは煩雑で、2つの手続きを並行して進める必要があります。BOI奨励企業向けの「ワンストップサービスセンター」での申請に対応できるかも確認ポイントです。
5. 複数社で比較する
費用・対応範囲・実績を同条件で比べるために、3社以上からの見積もり取得を推奨します。下記の「見積もり比較テンプレート」と「質問リスト」を使うと、同条件での比較がしやすくなります。
見積もり比較テンプレート
| 比較項目 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
| 市場調査・FS(実施有無・費用) | |||
| 法人設立手続き(BOI申請含む) | |||
| 設立後の月次会計・税務申告 | |||
| 法定監査(年次) | |||
| ビザ・労働許可の取得代行 | |||
| 翻訳・公証・VAT等の別途費用 | |||
| 担当者体制(人数・日本語対応) | |||
| 最低契約期間 |
初回相談で使える質問リスト
支援会社への初回相談で以下の質問をすると、各社の対応力が見えてきます。
- 「当社と同じ業種(○○業)でのBOI申請実績は直近3年で何件ありますか?承認率はどの程度ですか?」
- 「サービス業の場合、外国人事業法(FBA)リスト3の許可取得に対応できますか?」
- 「設立後の月次会計・税務申告・年次監査まで一貫対応できますか?別契約ですか?」
- 「Non-Immigrant Bビザと労働許可証の同時申請に対応していますか?」
- 「見積もりに含まれない追加費用(VAT・翻訳費用・公証費用等)はありますか?」
- 「BOI恩典の期間満了後の税務処理(通常税率への移行)もフォローしてもらえますか?」
タイでの法人設立の費用・手順の詳細は「タイで法人設立する費用と手順の全まとめ」で解説しています。
公的支援を活用する — JETROの無料サービス
タイ進出を検討する初期段階では、JETROの無料サービスを最大限に活用することを推奨します。民間コンサルに依頼する前の情報整理に有効です。
JETROの主な無料サービス:
- 貿易投資相談: 国内事務所で経験豊富なアドバイザーが進出実務の相談に対応(無料)[14]
- 海外事務所による現地事情ブリーフィング: バンコク事務所が最新の投資環境を説明(無料・事前予約制)[15]
- 中小企業海外展開現地支援プラットフォーム: バンコクで官民連携による中小企業の現地展開をサポート[16]
活用の順序: まずJETROで制度・市場の全体像を無料で把握 → JETROの相談で得た情報をもとに民間コンサルへの質問を具体化 → 候補3社以上から同条件で見積もりを取得、という流れが効率的です。
よくある3つの失敗パターン
タイ進出支援の現場で報告されている代表的な失敗を3つに絞って紹介します。
1. BOI奨励を取らずに設立してしまった
「まず法人を作って、BOIは後から申請しよう」と進めた結果、BOI申請には新規投資計画が必要で、既存事業では申請要件を満たせなかったケース。BOI検討は設立前に行うべきです。
2. 外国人事業法を見落とした
サービス業で100%外資の現地法人を設立しようとしたが、FBAリスト3に該当し許可が必要と判明。タイ人名義株主を立てる「ノミニー」構造は違法リスクがあり[5]、正規ルートでのFBA許可取得か、BOI奨励の活用を検討する必要があります。
3. 進出先を1カ国しか検討しなかった
タイ一択で進めたものの、自社の業種にはベトナムやインドネシアのほうが人件費・市場規模の面で適していたケース。進出先は必ず複数国を比較して判断すべきです。
失敗パターンの詳細と回避策は「東南アジア進出で日本企業が失敗する7つの原因」で解説しています。また、タイとベトナムの比較は「ベトナムとタイ、進出先はどっち?業種別に比較」をご覧ください。
まとめ — 比較の第一歩はここから
タイ進出支援は「総合型」「会計税務型」「市場調査型」「EOR/GEO型」の4タイプに分かれます。加えて、BOI奨励制度と外国人事業法(FBA)を理解したうえで支援会社を選ぶことが、コスト最適化の鍵です。
選定の3ステップ:
- JETROの無料相談で制度・市場の全体像を把握する
- 自社の業種とBOI対象可否を確認し、適したタイプ(4タイプ)を選ぶ
- 候補3社以上から見積もり比較テンプレートで同条件比較し、質問リストで対応力を確認する
UpAsiaでは、タイ進出支援に関する企業の資料を無料で掲載しています。まずは支援範囲・費用感・対応体制を比較するところから始めてみてください。
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出典・参考資料
- JETRO「タイ日系企業進出動向調査2024年度」2025年2月公表. https://www.jetro.go.jp/world/reports/2025/01/32a9472f08549876.html
- JETRO「2025年度海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」2025年11月公表. https://www.jetro.go.jp/world/reports/2025/01/231fa237934b5b0c.html
- JETRO「外資に関する奨励|タイ」. https://www.jetro.go.jp/world/asia/th/invest_03.html
- EY Japan「主要国におけるBEPS2.0:タイ — BOI税恩典享受のための軽減緩和措置を導入」. https://www.ey.com/ja_jp/insights/tax/beps2-country-update-series9
- JETRO「外資に関する規制|タイ」. https://www.jetro.go.jp/world/asia/th/invest_02.html
- One Asia Lawyers「タイ:外国人事業法改正に向けた近時の動向」2025年11月. https://oneasia.legal/15970
- Asia Alliance Partner 公式サイト「会社概要」. https://aapth.com/jp/profile
- 朝日ビジネスソリューションタイランド 公式サイト. https://bangken.com/
- 海外進出PRO 公式サイト「タイ進出」. https://kaigai-pro.com/thailand/
- ガルベラ・パートナーズ タイ 公式サイト. http://thailand.asean-focus.jp/
- 東京コンサルティングファーム 公式サイト「タイ」. https://kuno-cpa.co.jp/tcf-thailand/
- Bricks&UK バンコク事務所 公式サイト. https://thai.bricksuk.biz/
- Digima〜出島〜 公式サイト「タイ進出」. https://www.digima-japan.com/country/thailand/
- JETRO「貿易投資相談(無料)」. https://www.jetro.go.jp/services/advice/
- JETRO「海外事務所による現地事情ブリーフィング(無料)」. https://www.jetro.go.jp/services/briefing/
- JETRO「中小企業海外展開現地支援プラットフォーム(バンコク)」. https://www.jetro.go.jp/jetro/overseas/th_bangkok/platform.html
