ベトナム進出コンサルの選び方と費用相場【2026年】
ベトナム進出を検討する企業の多くが直面するのが「コンサルを使うべきか、使うなら何を基準に選ぶか」という判断です。インターネットで検索すれば支援企業は数十社見つかりますが、費用感も対応範囲も名称もバラバラで、比較が難しいのが現状です。
この記事のポイント:
- コンサルが必要な3つの場面と、不要なケースの判断基準
- 支援タイプ別(総合型・会計税務型・市場調査型・EOR型)の費用相場と特徴
- コンサル選びで確認すべき5つのチェックポイント
- 法人設立なしで進出を先行試験できるEOR/GEO(海外雇用代行)という選択肢
- 2025〜2026年の行政再編リスクと最新制度情報
JETRO「2025年度海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編、2025年11月版・2026年2月17日訂正反映)」では、在ベトナム日系企業の事業拡大意欲は全体56.9%と2年連続でASEAN主要国トップを記録しています。一方で、準備不足による失敗も多く報告されています。
ベトナム進出の基本情報(メリット・リスク・他国比較)は「ベトナム進出ガイド|メリット・リスクを他国比較で解説」で詳しく解説しています。本記事ではコンサル活用という切り口に絞って解説します。
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ベトナム進出にコンサルが必要な3つの場面
コンサル支援が特に有効なのは、次の3つの場面です。
1. 法人設立・許認可取得(手続きの複雑さへの対応)
一般的な外資法人設立では、まず投資登録証明書(IRC: Investment Registration Certificate)を取得し、次に企業登録証明書(ERC: Enterprise Registration Certificate)の申請を行うという2段階の手続きが必要です(JETROベトナム投資ガイド)。ただし、法令上の例外類型もあります。
書類の準備から当局への申請まで、ベトナム語での対応が多いため、現地拠点または現地提携先を持つ支援企業の方が対応しやすい傾向があります。業種によっては、追加の許認可や外資比率の制限が絡むため、法律・税務の専門知識が不可欠です。
2025〜2026年の制度メモ(最新): ベトナムでは2025年に政府機関の統廃合を含む大規模な行政再編が行われています。所管官庁や地方窓口の変更、一時的な許認可の処理遅延が生じる可能性があります(PwCベトナム行政改革2025レポートでも同様の懸念が示されています)。申請前に最新の所管窓口を確認することが重要です。
2. 市場調査・販路開拓(現地ネットワークの壁)
「ベトナムで売れるか」を判断するための市場調査は、現地の商習慣や流通ネットワークへのアクセスがないと精度の高い情報が得られません。現地パートナー探しや競合調査、バイヤーとの接触は、現地に根ざした支援企業の方が圧倒的に早く動けます。
3. EOR/GEOで拠点なしの先行試験進出
近年注目を集めているのが、EOR(Employer of Record)/GEO(Global Employment Organization)と呼ばれる海外雇用代行サービスです。現地の雇用受託事業者を通じて、現地法人設立前でも人材配置を進められる実務スキームです。
EOR/GEOの料金は、提供範囲(給与計算のみ/人事労務全般/法的責任の範囲等)、雇用人数、給与水準によって大きく異なります。公開例でも固定月額制・給与連動制があり、価格幅は広いため、複数社見積もりで比較するのが現実的です。法人設立に伴うコストや時間を節約でき、撤退時も清算手続きが不要という点でリスクが低い選択肢です。
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コンサル費用の相場とタイプ別の特徴
支援企業は対応領域によって大きく4タイプに分かれます。費用は支援範囲・業種・現地対応の有無で大きく変動し、公開価格だけで一律比較しにくいため、複数社見積もりで総額比較が推奨されます。
| 支援タイプ | 主な対応範囲 | 費用の傾向 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 総合型コンサル | 市場調査〜法人設立〜運営フォロー | 幅が広く、スコープにより数十万〜数百万円 | 進出経験ゼロ・スピード優先 |
| 会計税務型 | 税務申告・会計・労務管理 | 月額サポートが主体 | 既に進出済み・設立後のサポート |
| 市場調査型 | フィジビリティ調査・販路開拓 | スポット対応、数十万〜百数十万円 | 参入前の市場検証 |
| EOR/GEO型 | 現地雇用代行(法人設立不要) | 事業者・提供内容により価格差が大きい | 先行試験・小規模スタート |
費用表の注意点: 見積書によってはVATや翻訳・公証費用、実費が別建てになります。契約前に総額と内訳を確認してください。
コスト以外で比較すべき3つの観点
費用が安くても、以下の3点が不十分では進出後のトラブルに発展するケースがあります。
- 現地拠点の有無: ハノイとホーチミン市では法令運用や商慣行が異なることがあるため、進出先の都市に拠点を持つ企業が望ましい
- 担当者の経験年数: 担当者が現地に住んだ経験があるか、同業種の支援実績があるか
- 設立後のフォロー体制: 法人設立後の会計・税務・人事労務の継続支援があるか否か
コンサル選びの5つのチェックポイント
支援企業を選ぶ際に確認すべき5つのポイントをまとめます。
1. 自社業種の支援実績があるか
製造業・小売業・サービス業・IT業では必要な許認可や外資規制が異なります。「ベトナム進出支援実績○社」という数字だけでなく、「自社と同業種の支援実績があるか」を確認してください。
たとえば小売業では2店舗目以降はENT(経済的需要審査)が論点になりますが、一定条件では免除される場合があり、CPTPPとの関係で制度見直しも継続しています(JETROベトナム外資規制ガイド)。業種特有の論点を把握していない支援企業では対応が遅れるリスクがあります。
2. 現地拠点(ハノイ・ホーチミン)があるか
日本の本社だけで対応している企業の場合、現地当局とのやりとりや書類取得に時間がかかります。一方、ベトナム現地に常駐スタッフがいる企業は、想定外のトラブルへの対応速度が格段に異なります。
北部(ハノイ周辺)への製造拠点進出と、南部(ホーチミン周辺)への販売拠点進出では対応拠点が異なるため、自社の進出予定地に合わせた確認が必要です。
3. 設立後フォローの体制があるか
法人設立のサポートのみを行い、設立後の税務・会計・労務管理は別途契約という会社も多くあります。ベトナムの税務実務は複雑で、2025〜2026年には法人税法やVAT運用にも改正があります(標準法人税率20%、一部中小企業向け軽減税率やVATの時限的軽減措置あり — PwCベトナム税務サマリー)。初年度から体制を整えるためにも、「設立から運営フェーズまで一貫して対応できるか」を事前に確認しておくことが重要です。
4. 担当者の属人化リスクを確認する
支援企業を選んでも、担当者が退職・異動した途端にフォローが途絶えるケースは少なくありません。担当者が1名体制か複数名体制か、引き継ぎの仕組みがあるかを事前に聞いておきましょう。
5. 複数社に見積もりを依頼する
費用・対応範囲・実績を同条件で比較するために、必ず複数社(3社以上)から見積もりを取ることを推奨します。費用だけでなく「誰が担当するか」「設立後は何をカバーするか」を具体的に聞くことが、後悔のない選定につながります。
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セルフ進出 vs コンサル活用の判断基準
自社対応(セルフ進出)が現実的かどうかは、以下の観点で判断できます。
コンサルに向いているケース
次のいずれかに当てはまる場合、コンサル活用を強く推奨します。
- ベトナムへの進出が初めて(先行事例が社内にない)
- 業種に特有の許認可・外資規制がある(小売、医療、金融等)
- スピードを優先したい(コンサルを使うと設立期間が短縮できるケースが多い)
- 現地パートナー・サプライヤー探しが必要
自社対応でも進められるケース
次のいずれかに当てはまる場合、コンサルなしでも進められる可能性があります。
- グループ会社や取引先がベトナムにすでに進出しており、現地情報が入手可能
- 同業他社の進出実績が豊富で、社内に知見がある
- 駐在員事務所の設置のみを目的とする(法人設立より手続きがシンプル)
なお、駐在員事務所(Representative Office)は市場調査・連絡・商務促進に限定された拠点形態であり、直接の営業活動・収益活動は認められていません(JETRO外資規制ガイド)。実際に販売や製造を行う場合は現地法人設立が必要です。
EOR/GEOで先行試験するという選択肢
「法人設立するほどの確信はないが、現地での活動を早期に始めたい」という場合は、前述のEOR/GEO(海外雇用代行)が有効な中間策になります。現地に法人を持たずに現地スタッフを雇用し、実際のビジネス検証を進めながら、手応えが出てから法人設立に進むという段階的なアプローチです。
東南アジア進出で日本企業が陥りがちな失敗パターンは「東南アジア進出で日本企業が失敗する7つの原因【撤退事例付き】」でまとめています。
よくある失敗パターンと予防策
ベトナム進出支援の事例として報告されている3つの失敗パターンを紹介します。
「法人設立してからコンサルに相談」の落とし穴
「まず法人設立だけ自社でやってから、困ったらコンサルに相談しよう」というアプローチをとり、設立後に会計・税務申告の段階で手詰まりになるケースがあります。ベトナムの税務実務は複雑で設立初年度からミスがあると追加課税のリスクが生じます。支援の範囲を設立後まで最初から決めておくことが重要です。
担当者が変わって引き継ぎが途絶えた
支援企業を選んだ後に担当者が交代し、引き継ぎが不十分なまま進出プロジェクトが滞るケースがあります。支援企業との契約時に「担当者変更時の引き継ぎ手順」を明確にしておくことが予防策になります。
安さ優先で選んだら現地対応ができなかった
日本オフィスのみで対応する支援企業を安さで選んだ結果、現地での許認可取得や当局とのやりとりに大幅な遅延が生じたという事例があります。「費用が安い=コスパが良い」にはならないケースが多く、現地対応力の確認が欠かせません。
ベトナムとタイの進出先比較は「ベトナムとタイ、進出先はどっち?業種別に比較」、東南アジア全体の進出企業動向は「東南アジアに進出する日本企業一覧【2026年最新】」も参考にしてください。
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まとめ — コンサル選びの優先順位
ベトナム進出コンサルを選ぶ際の優先確認事項を整理します。
- まず進出形態を決める: 現地法人・駐在員事務所・EOR/GEOのどれが自社の目的に合うか
- 業種特有の規制を確認する: 外資比率制限や許認可要件が業種ごとに異なるため、同業種の支援実績を最優先に確認
- 現地拠点の有無を確認: 進出予定都市(ハノイ/ホーチミン)に常駐スタッフがいるかをチェック
- 設立後フォローの範囲を最初に合意: 税務・会計・労務まで一貫して任せられるか
- 複数社を比較してから決定: 費用・対応範囲・担当者の質を同条件で比較する
JETRO「2025年度アジア・オセアニア日系企業実態調査(2026年2月17日訂正反映)」では、ベトナムの事業拡大意欲は2年連続ASEAN首位。支援企業との関係は「設立手続きを頼む」ではなく「中長期のパートナーとして選ぶ」という視点で選定することを推奨します。
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出典・参考資料:
・JETRO「2025年度海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」(2025年11月版・2026年2月17日訂正反映)
・JETRO「外国企業の会社設立手続き・必要書類 | ベトナム」
・JETRO「外資に関する規制 | ベトナム」
・PwC「Vietnam Administrative Reform 2025」
・PwC「Vietnam Corporate Tax Summary(2025-2026)」
