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東南アジアへの製造業進出のリスクは?賃金・中国競合・現地調達を重ねて試算する手順【2026年】

東南アジアへの製造業進出のリスクは?賃金・中国競合・現地調達を重ねて試算する手順【2026年】

東南アジアへの製造業進出では、賃金上昇・中国企業との価格競争・現地調達の品質を重ねた条件で利益が残るかを、進出先を決める前に試算してください。 ジェトロの2025年度調査(ASEAN主要6か国)では、製造業の33.3%が中国企業を最大の競合に挙げ、業種を限らない回答の36.2%が採用の悪化を答えています。

この記事は、東南アジアビジネス資料ポータル UpAsia(アップアジア、運営: Talenty株式会社)の編集部が、公開一次資料をもとにまとめた解説です。賃金・競合・調達の統計を同じ試算表へ入れる手順と、3 年分の年次試算の例を、資料の選び方までつないで説明します。公開中の資料ページは77、掲載企業は55社です(2026年10月21日、UpAsia 編集部の集計)。

東南アジアの製造業進出で、利益を削るリスクとは何か?

答え: 賃金の上昇、中国企業との価格競争、現地調達の品質の 3 つです。それぞれ人件費、売上高、調達費という別の行を動かすため、並行して入力します。

編集部の架空工場の試算では、賃金の上昇だけなら 3 年目も 30.7 万ドルの黒字です。売価の下落を重ねると 2 年目にマイナス 2.9 万ドルへ転じ、2 年目に現地化を始めれば 31.1 万ドルに戻ります。

下の表は、ジェトロの2025年度調査の分析などの公開値を、入力値の決め方と判断の使い道へ置き換えたものです。回答割合は企業の割合なので、売価下落率や調達費削減率へそのまま入れません。

リスク 公開統計 年・対象 入力値の決め方 判断への使い方
賃金 ベトナムの月額基本給 302 ドル 2024年8月、日系企業の製造業・作業員の平均、手当を除く 候補地の採用提示額から年間の実質負担を積む 人件費の行で赤字の年を見る
採用 採用悪化 36.2% 直近2年間、ASEAN6、業種を限らない回答 職種別の採用期間を月数で置く 許容できる遅延月数と比べる
競合 中国企業が最大の競合 33.3% 2025年度、製造業、ASEAN6、1,109社 競合製品との価格差から下落率を置く 赤字になる売価下落率と比べる
調達 品質・技術力が不十分 55.7% 2024年度、ASEAN5、機械産業 部品ごとの承認期間から開始年を置く 現地化の期限を決める

黒字の統計は、この表とは分けて読みます。同調査の前編では、ASEAN進出日系企業(回答のあった9か国)の65.3%が2025年の営業黒字を見込んでいます。この値は業種を限らない回答の割合で、調査は2025年8〜9月実施、有効回答は5,109社(うちASEAN 3,172社)です。回答企業全体の見通しを示す数字なので、自社の工場の採算は別に試算します。

公開統計3件を人件費・売上高・調達費へ並列に対応させ、回答割合は率へ流用せず、1枚の試算表へ集約する関係を示す図
図1: 対象と年度が異なる 3 つの統計を、人件費・売上高・調達費へ並列に対応させ、自社の値に替えて 1 枚の試算表へ集約する

なぜ賃金は全国平均だけで読めないのか?

答え: 同じ国でも地域差が大きく、基本給と最低賃金は別の指標だからです。試算の原価には、候補地の採用提示額をもとにした年間の実質負担を入れます。

ジェトロの2024年度調査が国別の水準を示しています。2024年8月時点の製造業・作業員の月額基本給(回答した日系企業の平均値、諸手当を除く)は、タイ437ドル、インドネシア384ドル、ベトナム302ドルです。ベトナム国内でも、ホーチミン市399ドルに対してハイズオン省242ドルと、150ドル以上の開きがあります。

都市間の差は、2022〜2023年度の集計の中央値でも確かめられます。バンコク503ドル(35社)、ジャカルタ394ドル(31社)、ホーチミン市256ドル(30社)、シンガポール1,814ドル(42社)です。年度が古いため、現在の採用予算には使わず、都市間の開きをつかむ参考値にとどめます。

最低賃金は、賃金の下限と改定の速さを見るための指標です。ベトナムの2026年の最低賃金は、地域1が月額531万ドンで7.1%増、4地域の平均が7.2%増です(ジェトロ)。2027年1月については、国家賃金評議会の最終案が地域1を570万ドン(7.3%増)、4地域の平均を7.8%増としました。政府は2026年11月2日に政令399/2026/ND-CPを公布し、この額で2027年1月1日から改定します(ベトナム政府電子新聞)。

試算では、4 種類の賃金の数字を別の項目に分けます。最低賃金は違反がないかの確認に、採用提示額は新規採用の条件に、基本給は在籍者の昇給計算に使います。原価に入れるのは、賞与や社会保険、残業代を含む年間の実質負担です。ジェトロの2025年度報告書を開き、候補地の最新の掲載値から始めると、入力の抜けを減らせます。

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中国企業との競合と現地調達は、どこまで利益に響くのか?

答え: 競合は売上高を動かし、現地調達は調達費と削減の開始年を動かします。影響の大きさは業種と部品で異なるため、自社製品の価格差と承認期間を入力します。

2025年度調査のASEAN主要6か国の製造業で、中国企業を最大の競合に挙げた回答は33.3%です。業種別では電気・電子機器部品38.6%、輸送機器部品34.1%、鉄・非鉄・金属30.1%、食料品14.5%と開きがあります。また、ASEAN6で中国企業を最大の競合とみる企業は、重点対策に価格の引き下げ(35.7%)とコスト削減(33.6%)を挙げました。競合が中国企業以外の場合は27.3%と23.9%です。この対策の数字は製造業に限定した値と明記されていないものの、売価を据え置いた試算を疑う材料になります。

調達は、調達先の国と部品の承認状況を分けて見ます。2025年度調査で、ASEANに立地する製造業の現地(立地国)からの調達率は42.9%で、日本29.6%、中国11.5%、ASEAN他国9.9%が続きます。現地調達先の内訳は、地場企業50.1%、現地進出の日系企業40.3%です。

現地調達の課題は、アジア経済研究所のポリシーブリーフに整理されています。2024年度のジェトロ調査からASEAN5か国の機械産業を抽出した分析で、品質・技術力の不足が55.7%、原材料を供給できるメーカーの不在が50.2%でした。そのため、候補先が見つかった時点では調達費を下げません。試作評価、量産承認、代替先の確認を終えた時点から、削減額を試算に入れます。

3 つのリスクを重ねると、利益はどう変わるのか?

答え: 賃金の上昇だけなら 3 年目も黒字の条件でも、売価の下落が重なると 2 年目に赤字へ変わる場合があります。現地調達の開始時期が 1 年ずれるだけで、その年の損益が反転することもあります。

下の表は、従業員200人の架空の工場を置いた簡易試算です。基本給は2024年8月のベトナム平均302ドルから始め、毎年7.2%上がると仮置きしました。302ドルは計算を見せるための起点で、最新の掲載値ではありません。7.2%はベトナムの2026年の最低賃金の4地域平均を借りたストレス条件で、実際の昇給率とは別です。売価は毎年2%下がる条件とし、現地調達で調達費が 5%(34 万ドル)減る案を比べます。

項目(万ドル) 基準 1 年目 2 年目 3 年目
売上高 1,000.0 980.0 960.4 941.2
調達費 680.0 680.0 680.0 680.0
人件費(基本給のみ) 72.5 77.7 83.3 89.3
その他費用 200.0 200.0 200.0 200.0
簡易利益(現地化なし) 47.5 22.3 −2.9 −28.1
簡易利益(2 年目に現地化) 47.5 22.3 31.1 5.9
簡易利益(3 年目に現地化) 47.5 22.3 −2.9 5.9
条件A: 2 年目に現地化+賞与等30%上乗せ 25.8 −1.0 6.1 −20.9
条件B: 2 年目に現地化+品質・切替費用 47.5 22.3 21.1 1.9

3 年目の現地化なしの列を要因別に分けると、悪化の重なり方が見えます。賃金の上昇に限れば簡易利益は 30.7 万ドル、売価の下落に限ればマイナス 11.3 万ドル、両方でマイナス 28.1 万ドルです。この条件では売価の影響が賃金より大きいものの、製品や人員構成が変われば順序も変わります。

現地化の開始年は、損益の反転と累計額の両方に表れます。2 年目開始の累計は 59.3 万ドルで、1 年遅れると 2 年目が赤字に変わり、累計は 25.3 万ドルへ減ります。

条件Aは、賞与・会社負担保険料・残業代を基本給の30%と置いた架空の例です。2 年目に現地化しても 1 年目から赤字で、3 年累計はマイナス 15.8 万ドルになります。条件Bは、品質・切替費用を開始年に 10 万ドル、翌年以降は毎年 4 万ドルと置いた例です。34 万ドルの効果は 24 万ドル、30 万ドルへ縮み、累計は 45.3 万ドルです。同じ費用で 3 年目に始めると累計は 15.3 万ドルにとどまります。

表の「簡易利益」は、条件Aを除いて賞与や法定費用を省き、税金は全行で省いた値で、実際の営業利益とは異なります。その他費用は比較のために据え置いており、実務ではエネルギー、物流、減価償却費を分けて別に変化させます。

架空の200人工場で現地化の開始年を比べ、2年目の簡易利益が31.1万ドルとマイナス2.9万ドルに分かれ、差額34.0万ドルとなる図
図2: 架空の工場で現地化の開始年を比べた図。2 年目の損益が黒字と赤字に分かれ、差額 34.0 万ドルが累計にも残る

計算式と、差し替えるセルは何か?

表の前提は、販売数量・人員・為替が一定で、削減効果は現地化開始年の期首から通年で生じる条件です。計算途中は丸めず、表示だけ万ドルの小数第 1 位に四捨五入しました。

  1. 売上高。基準売上高×(1−売価下落率)を、経過年数の回数だけ掛けます。
  2. 人件費。基本給×12 か月×人数に、(1+昇給率)を経過年数の回数だけ掛けます。
  3. 調達費。基準調達費を置き、開始年以降は基準調達費×(1−削減率)へ替えます。
  4. 簡易利益。売上高−調達費−人件費−その他費用で求めます。

自社の表では、基準売上高、基準調達費、基本給、人数、昇給率、売価下落率、削減率、開始年、その他費用を差し替えます。実務では、開始月に応じて削減額を按分します。

赤字額と必要資金は、どう分けるのか?

赤字額と必要資金は別の数字なので、損益表とは別のシートで資金不足を確かめます。黒字の年でも、回収前の売掛金と在庫に現金が先に出ていくためです。

  1. 未反映の立ち上げ支出。法人設立や採用・研修など操業前の支出から、設備投資と、利益の計算に費用として入れた分を除いて月別に置きます。
  2. 運転資金。売上高×回収日数÷365 に調達費×在庫日数÷365 を足し、調達費×支払日数÷365 を引きます。在庫には加工費も含まれるため、この材料費ベースの式は概算です。
  3. 資金不足の判定。期首現金+利益+減価償却費−設備投資−未反映の立ち上げ支出−運転資金の増加を求め、最低保有現金と比べます。各支出は一度だけ反映し、減価償却費は利益の計算で費用に入れた場合に足し戻します。

上の試算で回収 60 日、在庫 45 日、支払 30 日と仮置きし、期首の運転資金をゼロとする概算では、1 年目の運転資金は約 189 万ドルです。この額は残高で、追加の調達額は期首現金や出資・借入を反映して求めます。

品質不良と採用遅延は、どの行へ足すのか?

品質不良は、廃棄、再検査、追加の輸送費を「品質費用」の行へ足します。承認のやり直しが生じる場合は、調達費の削減開始年も遅らせます。

採用遅延は、売上開始の遅れとして入れます。売上高×(12−遅延月数)÷12 で初年度を計算し、数量に連動する調達費だけを減らして、人件費と固定費は残します。上の条件で 3 か月遅れると、1 年目の売上高は 980 万ドルから 735 万ドルになり、簡易利益はマイナス 52.7 万ドルです。

米国向けの輸出があるなら、どの行を足すのか?

答え: 品目番号、除外、輸入者、自社負担額の順に確かめ、自社が負担する額だけを別の行に入れます。米国向け輸出額の全体へ税率を機械的に掛ける手順にはしません。

  1. 品目番号。HTS の品目番号を確定し、CBP の案内 CSMS #69326983 と対応表で追加関税の番号を照合します。
  2. 除外。USTR の官報告示の Annex I・II で、該当の有無を確かめます。232条の対象品目なども除外されます。
  3. 輸入者。輸入者と契約条件、価格転嫁の範囲を確認します。顧客が輸入者なら、値下げ要求は売価下落率の側で試算します。
  4. 自社負担額。関税額のうち、自社が負担する額を「関税」の行へ入れます。

USTR は2026年7月23日、通商法301条に基づき、60か国・地域を対象とする関税措置を発表しました(ジェトロ)。インドネシアとマレーシアは10%、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナムは12.5%です。日本・韓国・スイスは一般税率(MFN)との合計が12.5%になる方式で、一般税率が12.5%以上なら追加はありません。

適用は、米東部時間7月24日午前0時1分以降に消費用輸入申告または保税倉庫からの消費用引取りが行われる貨物です。その時刻より前に船積みされ、最終輸送手段で輸送中の貨物は、7月28日午前0時1分より前に同じ手続きを行えば対象外です。バングラデシュ、カンボジア、インドネシア、マレーシアの特定の繊維・アパレル製品には、3 年間の関税割当で一定数量まで追加関税をなくす方針も示されました。

掲載税率は2026年7月23日公表の措置に基づき、2026年10月30日時点の全品目の現行税率までは確認していません。適用日の最新の HTS、CBP 通知、USTR 告示で品目別に再確認します。

別件として、USTR は2026年3月に製造業の過剰生産を巡る301条調査を始めました。対象の16か国・地域には、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナムが入ります。ジェトロの2026年10月9日付の短信は、同時点で結果が未公表と伝えています。各国への影響は相互関税で東南アジア進出はどう変わる?ASEAN6カ国の影響と日本企業の対策【2026年最新】でも整理しています。

候補国はどう絞り込むのか?

答え: 国を順位付けせず、自社の試算で影響の大きい行を候補国ごとに確かめて絞り込みます。動く行が国で異なるため、並べて見ると確認の優先順位を立てやすくなります。

下の表は、公開統計を国別に並べたものです。採用悪化は業種を限定しない回答、中国企業の割合は製造業の回答で、母数が異なります。最低賃金は、編集部が確認できた候補国について、掲載した改定時点の額に限って載せました。

ASEAN6全体の採用悪化36.2%は、ジェトロの掲載値です。図注の全体回答数2,516社と国別の合計2,887社は一致せず、理由は未確認のため、全体の母数は掲載を保留します。記載の国別値から加重平均を求めると約36.2%です(編集部の検算)。

国 採用悪化(回答数) 中国企業が最大の競合(回答数) 米国の301条追加関税(2026年7月23日公表の措置・品目別の除外あり) 最低賃金・改定方針(掲載時点)
ベトナム 48.2%(894社) 30.8%(334社) 12.5% 地域1は531万ドン(2026年)、2027年1月から570万ドン(政令399/2026/ND-CP)
マレーシア 44.9%(363社) 34.2%(149社) 10% 2027年6月に2,000リンギの方針(売上高5,000万リンギ未満のMSMEsは対象外)
フィリピン 38.7%(168社) 31.3%(64社) 12.5% 候補なら別途確認
シンガポール 34.5%(464社) 27.8%(79社) 12.5% 候補なら別途確認
タイ 27.9%(628社) 40.1%(297社) 12.5% バンコクは日額400バーツ(2025年7月)
インドネシア 13.5%(370社) 29.0%(186社) 10% ジャカルタは月額572万9,876ルピア(2026年)

国別の値は、確認項目の順序を決める材料として使います。ベトナムやマレーシアを候補にするなら、採用期間と人件費の前提を先に確かめます。タイは、製造業で中国企業を挙げる割合が 6 か国で最も高いため、競合製品との価格差から調べます。

絞り込みには、自社の判定列を足します。「許容できる採用遅延の月数」と「赤字になる売価下落率」です。上の架空工場の 1 年目(現地化なし、基本給のみ)なら、操業計画に対して約 0.9 か月の追加の遅延か、基準売価から約 4.2% の下落で簡易利益がゼロになります。候補国で見込まれる追加の採用・操業の遅延月数や、競合との価格差による売価の下落率がこの値を超えるなら、対策なしでは赤字と判定します。

マレーシアの2,000リンギは2027年度予算案の方針で、施行済みの額ではありません。財務省の予算演説は、年間売上高5,000万リンギ未満の零細・中小企業(MSMEs)を引き上げの対象外とする方針を示し、要件の詳細は今後の公表を待ちます。半熟練労働者と大卒者には、月額2,500リンギの最低賃金を新設する方針も示されました。インドネシアはジャカルタの額と38州平均5.91%増、タイは2025年の改定を確認した値で、所在地・業種別の適用額と後続の改定は採用時点で確かめます。

業種と税制の比較は、別の記事が補えます。製品別の検討にはベトナムとタイの進出比較|費用・税制・業種の違い【2026年】、税負担の行には東南アジア6カ国の法人税を比較|優遇税制と実効税率の全まとめ【2026年版】を使えます。

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試算と確認はどう進めるのか?

自社で基準ケースと悪化条件を作り、相談先に現地の前提を照合してもらいます。回答は該当のセルへ記入し、赤字になる年と対策の開始時期を見直します。

自社が基準ケースと悪化条件を作り、相談先が立地・賃金と税務・手続きを照合し、結果を自社の試算へ戻して更新する循環の図
図3: 試算と確認の 4 手順。自社が 1〜2 で試算を作り、相談先が 3〜4 で前提を照合し、結果を 1〜2 へ戻して更新する
  1. 自社が基準ケースを作る。売上高、調達費、人件費、その他費用を分け、基準年の値を入れます。人件費は原価に入れる年間の実質負担で作ります。
  2. 自社が悪化条件を重ねる。賃金の上昇率、売価の下落率、現地化の開始年を年次で動かします。赤字になる年を書き出し、別シートで資金不足を確かめます。
  3. 相談先が立地と賃金の前提を照合する。「候補地で作業員を採用する場合の提示額と、賞与・保険料を含む年間負担はいくらか。時点と出典も知りたい」と尋ね、回答を人件費のセルへ記入します。
  4. 相談先が税務と手続きを確認する。会計・税務の専門会社に、法定費用や設立手続きの前提を尋ねます。回答は法定費用と未反映の立ち上げ支出のセルへ記入し、1 と 2 を更新します。

よくあるつまずき

  1. 最低賃金を入れたのに、人件費が見積りと合わない。最低賃金は下限を示す指標で、賞与や社会保険、残業代を含みません。採用提示額と年間の実質負担を別の行に分けます。
  2. 現地の調達先を見つけたのに、調達費が下がらない。試作評価や量産承認が終わるまで、調達費の削減を始められない場合があります。削減額は切替の開始月から按分して入れます。
  3. 相談先に質問したのに、試算の前提が固まらない。試算の行と確認したい時点を伝えないと、回答が抽象的なままになることがあります。質問を試算表の行ごとに分けて送ります。

進出先を決める前に、何を確認するのか?

売価、賃金、調達、関税の 4 点を確認します。各項目の前提に、年と出典を添えて残します。

  1. 売価の前提を確認しましたか?競合製品との価格差を調べ、売価を据え置く場合と下げる場合を両方試算します。
  2. 賃金の前提を確認しましたか?候補地の採用提示額と年間の実質負担を分け、最低賃金の改定予定を確かめます。
  3. 調達の前提を確認しましたか?部品ごとに候補先、承認期間、代替先を書き、遅れた場合の損益を比べます。
  4. 関税の前提を確認しましたか?米国向けの製品があれば、品目番号、除外、輸入者、自社負担額を確かめ、確認日を記録します。

撤退の理由を先に知りたい場合は、ベトナム・タイで日本企業が撤退する理由|進出前の確認が参考になります。4 項目のうち未確認のものがあれば、その行を悪化条件のまま残して判断します。

よくあるご質問

Q. 東南アジアの製造業進出で、最初に何を確かめればよいですか?

売上高、調達費、人件費、その他費用を分けた基準ケースを作ります。次に賃金・売価・調達の悪化を重ね、赤字になる年を確かめます。

Q. 最低賃金を見れば、人件費の試算はできますか?

最低賃金は下限の確認に使う指標で、それだけでは試算できません。採用提示額、基本給、賞与や社会保険を含む年間の実質負担を分けて入力します。

Q. 中国企業と競合しない製品でも試算は要りますか?

要ります。ジェトロの調査でも業種で回答割合に差があるため、自社製品の競合と売価を確かめ、競合が見当たらなければ売価の悪化幅を小さく置きます。

Q. 米国向けに輸出しない場合、追加関税は無視してよいですか?

自社の関税負担の行は不要です。ただし、顧客が米国へ輸出する部品などは、受注量や価格の要求に影響が及ぶことがあるため、顧客の状況を確かめます。

Q. UpAsia の資料はどのように入手しますか?

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